「NISAは非課税だからお得」。よく聞くフレーズですが、何がどう非課税なのかを説明できる人は意外と少ない。
制度の骨格だけ押さえておくと、口座を開くときの判断が早くなります。
※本記事は制度の一般的な整理です。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も行っていません。特定の商品や銘柄をすすめるものではありません。投資には元本を毀損する可能性があり、取引には手数料がかかります。税制は改正されることがあるため、最新の内容は必ず金融庁および各金融機関の公式情報でご確認ください。
何が非課税になるのか
通常、株式や投資信託を売って利益が出ると、その利益に税金がかかります。配当や分配金も同じです。
NISA口座で取引した分については、この税金がかかりません。これが「非課税」の意味です。
つまり利益が出たときの税負担がなくなる制度であって、利益そのものを約束するものではありません。ここが混同されやすいところです。
2つの投資枠
NISAには性格の違う2つの枠があります。
つみたて投資枠は、長期・積立・分散に適するとして一定の基準を満たした投資信託などが対象です。毎月一定額を積み立てる使い方が想定されています。
成長投資枠は、上場株式や投資信託など、より幅広い商品が対象になります。ただし対象外となる商品もあります。
年間の投資上限、生涯にわたる非課税保有限度額はいずれも制度で定められています。具体的な金額は改正される可能性があるため、金融庁の案内で最新の数字を確認してください。
1人1口座、年に1つの金融機関
ここは口座選びに直結するルールです。
NISA口座は1人1口座しか持てません。しかも、同じ年に使えるのは1つの金融機関だけです。課税口座(特定口座・一般口座)を複数の証券会社で持てるのとは扱いが違います。
つまり「とりあえず複数開いて比べる」ができない。だからこそ、開く前に取扱商品を確認しておく価値があります。証券口座の選び方で、何を基準に絞るかを整理しました。
金融機関は変更できる
一度決めたら永久に固定、ではありません。翌年以降であれば変更できます。
ただし手続きが必要で、期限もあります。変更したい年の前年のうちに動く必要があるのが一般的で、その年に既にNISA口座で買い付けをしていると、その年の変更はできません。
また、変更しても既に保有している商品は元の金融機関に残ります。移管ではなく、新しい枠を別の金融機関で使う、という形になります。手続きと条件は各金融機関で確認してください。
変更の手順と時期の条件はNISA口座の金融機関を変更する手順にまとめました。
知っておくべき制約
非課税という言葉の印象が強い一方、制約もあります。
元本は保証されない
投資対象の価格が下がれば損失が出ます。非課税なのは利益が出た場合の税金だけです。
損益通算ができない
課税口座では、A社の利益とB社の損失を相殺して税負担を減らせます。NISA口座で出た損失は、この通算に使えません。
損失の繰越控除もできない
課税口座なら翌年以降に繰り越せる損失も、NISA口座では対象外です。
売却しても、その年の枠はすぐには戻らない
非課税保有限度額の再利用については制度上のルールがあるため、詳細は公式情報で確認してください。
つまり、利益が出れば有利、損失が出た場合は課税口座より不利になり得るという性質があります。
始める前に確認すること
- NISA口座を開く金融機関を決めたか(1人1口座、年に1つ)
- その金融機関が、自分の買いたい商品を扱っているか
- つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを使うか
- 投資に回すのが「当面使う予定のない資金」か
- 最新の投資枠と対象商品を金融庁の情報で確認したか
最後から2番目が実は一番大事です。生活に必要な資金や、近く使う予定のある資金を投じないでください。価格が下がったときに、下がった状態で現金化せざるを得なくなります。
長期・積立・分散という言葉が何を指すかは投資戦略の基本に、自分がどこまでの値動きを持ち続けられるかはリスク許容度とはにまとめました。
口座を開くところから
NISA口座は証券口座と同時に申し込めるのが一般的です。開設と口座管理は無料の会社が多く、開くこと自体に金銭的なリスクはほぼありません。
ただし、開設には税務署での確認が入るため、通常の口座より時間がかかることがあります。手順と必要書類は証券口座の開設手順にまとめました。
口座の種類(特定口座・一般口座)の選び方は特定口座と一般口座の違いへ。NISAとは別枠の話ですが、同じ申込画面で選ぶことになります。