「投資戦略」で検索すると、配分の割合や銘柄の名前が並ぶページばかり出てきます。読んでも、自分に当てはめられる気がしない。
そもそも戦略と呼ばれているものの土台は、そんなに数が多くありません。長期、積立、分散。この3つの言葉が何を意味していて、どんな仕組みで、どこが弱点なのか。ここではそれだけを書きます。何をいくら買うべきかという話はしません。
※本記事は用語と考え方の一般的な整理です。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も行っていません。特定の商品や銘柄をすすめること、売買のタイミングを示すこと、利回りを予測することは行いません。投資には元本を毀損する可能性があり、取引には手数料がかかります。制度や税制は改正されることがあるため、最新の内容は金融庁および各金融機関の公式情報でご確認ください。
戦略という言葉が指しているもの
投資の話に出てくる「戦略」は、何を買うかではなく、どういう枠組みで資金を動かすかを指しています。
どれくらいの期間持つのか。買うタイミングを1回にまとめるのか、分けるのか。対象を1つに絞るのか、広げるのか。この3つの問いへの答えが、そのまま長期・積立・分散という言葉に対応します。
金融庁は資産形成の基本として、家計の管理を土台に置いたうえで、この3つを並べて説明しています。銘柄選びの前に土台があるという構造です。
長期:複利という仕組み
得た収益を元本に加えて運用し続けると、次の期間はその増えた元本に対して収益が計算されます。これが複利です。期間が長いほど、この積み重ねが効いてきます。
ここで注意が要るのは、複利は「増え続けること」を保証する仕組みではないという点です。値下がりした年があれば、減った元本から次の期間が始まります。長期投資が語られるとき、複利の効果と同時に、途中の下落を抱えたまま持ち続ける期間があることも含まれています。
長く持つと決めたなら、その間に使う予定のない資金であることが条件になります。数年内に使う予定のあるお金を入れると、値下がりしている時期に取り崩すことになりかねません。
積立:買うタイミングを分ける
一定の金額で定期的に買い続ける方法を、積立投資と呼びます。決まった金額で買うため、価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことになり、購入価格が平均化されます。ドルコスト平均法という名前がついています。
長所は、買う時期を判断しなくてよくなることです。「今が高いのか安いのか」を毎回考える必要がなくなる。
短所もあります。価格が上がり続ける局面では、最初にまとめて買ったほうが結果的に多く増えていたことになります。また、平均化されるのは購入価格であって、資産の評価額が下がらないわけではありません。仕組みと弱点はドルコスト平均法の仕組みと弱点に詳しく書きました。
分散:3つの方向がある
分散という言葉は、実は3つの意味で使われています。
資産の分散。株式、債券、不動産など、値動きの傾向が異なるものを組み合わせる考え方です。
地域の分散。国内だけでなく、複数の国や地域に広げる考え方。
時間の分散。買うタイミングを分けること。つまり積立と同じものを、分散の一種として数える整理もあります。
金融庁の説明では、分散の目的は「価格の変動をある程度抑え、安定的な運用を目指す」ことだとされています。減らさないための仕組みではなく、振れ幅を抑えるための考え方です。
インデックスとアクティブ
投資信託を見ていると必ず出てくる区分です。
インデックスは、日経平均株価やS&P500といった指数と同じ値動きを目指す運用。アクティブは、その指数を上回ることを目指す運用です。
違いは方針だけでなく費用にも表れます。銘柄を選ぶ手間がかかる分、一般にアクティブのほうが運用にかかる費用(信託報酬)は高くなります。長期で持つなら、この費用の差が積み上がることになる。
どちらが優れているという話ではありません。費用の水準と、何を目指す運用かが違います。
リバランスという言葉
複数の資産に分けて持っていると、値動きの差で当初の割合が崩れていきます。株式が伸びた年は株式の比率が上がり、当初考えていたより値動きの大きい状態になる。
崩れた割合を元に戻す作業をリバランスと呼びます。売却を伴う場合は課税や手数料が生じるため、頻度をどうするかが実務上の論点になります。
3つの言葉と、それぞれの限界
まとめると、こういう関係になります。
| 考え方 | 何をする | 目的 | 限界 |
|---|---|---|---|
| 長期 | 保有期間を長く取る | 複利の効果を活かす | 途中の下落を抱える期間がある |
| 積立 | 一定額で買い続ける | 買う時期の判断を減らす | 上昇局面では一括に劣ることがある |
| 分散 | 対象を広げる | 値動きの幅を抑える | 全体が下がる局面では効きにくい |
どれも「損をしない方法」ではありません。値動きとの付き合い方を決める枠組みです。この点を外して読むと、期待と結果がずれます。
土台の前に、もう1つ土台がある
金融庁の資料が家計の管理から始まっているのは、投資に回す資金の性質が先に決まるからです。生活に必要な資金、近く使う予定のある資金を投資に回すと、値下がりしている時期に取り崩す事態になります。
自分がどこまでの値動きなら持ち続けられるかという話はリスク許容度とはに、NISAという制度の枠組みはNISAの基本にまとめました。
言葉の意味が分かると、他の記事に書かれている「戦略」が何を組み合わせたものかが読めるようになります。そこから先、何をどれだけ買うかは、あなたの資金と期間の話です。
投資には元本を毀損する可能性があります。手数料や税制は変更されることがあるため、最新の内容は金融庁および各社の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断は税理士などの専門家にご相談ください。