1つ目の証券口座を開いて数か月。別の会社のほうが手数料が安い、あの商品はこちらでしか買えない、と気づいて「2つ目を開くべきか」と迷う。

開くこと自体は簡単です。迷うべきなのは、開いたあとの管理を続けられるかどうか。ここでは複数口座で変わることと、増える手間を整理します。

※本記事は制度の一般的な整理です。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も行っていません。特定の商品や証券会社をすすめるものではありません。投資には元本を毀損する可能性があり、取引には手数料がかかります。制度・手数料は変更されることがあるため、最新の情報は金融庁および各社の公式サイトでご確認ください。

上限があるのはNISA口座だけ

一般の証券口座には、開設できる数の上限がありません。A社とB社とC社に1つずつ開くことは制度上できます。

上限があるのはNISA口座です。NISAは1人につき1つ、1つの金融機関でしか開けません。すでにA社でNISA口座を開いている人がB社でもNISAを申し込むと、税務署の確認で弾かれます。金融機関を変えたいときは、年単位での変更手続きになり、その年に買付をしていると翌年まで変えられません。

つまり「2つ目の証券口座」を考えるとき、NISAをどちらに置くかは別の話として先に決めておく必要があります。NISAの仕組みはNISAの基本にまとめました。

2つ目を持つと変わること

手数料と取扱商品の使い分けができます。会社ごとに、国内株の手数料体系、外国株や投資信託の取扱範囲、単元未満株の条件が違います。1社で全部をまかなうより、目的ごとに条件の良いほうを使うほうが費用を抑えられる場面があります。選び方の軸は証券口座の選び方に書きました。

障害時の備えになります。相場が大きく動く日にシステム障害で注文できない、という事態は過去に何度も起きています。別の口座があれば、少なくとも売買の手段は残ります。

アプリの比較ができます。実際に使ってみないと分からない画面の見やすさや通知の使い勝手を、自分の目で比べられます。

増える手間も、先に知っておく

損益通算は自動でされません。特定口座(源泉徴収あり)は、その証券会社の中で年間の損益を計算して税金を精算する仕組みです。A社で利益が出てB社で損失が出た年、両者を差し引くには確定申告が必要です。申告しなければ、A社の利益にかかった税金はそのままです。特定口座の仕組みは特定口座と一般口座の違いを参照してください。

年間取引報告書が会社ごとに届きます。確定申告をするなら、すべての口座分をそろえて計算します。口座が増えるほど、この作業は増えます。

休眠口座になりがちです。使わない口座はログインしなくなり、パスワードを忘れ、住所変更の届出も漏れます。放置していても口座管理料がかかる会社は少数ですが、いざ使おうとしたときに本人確認からやり直すことになります。

パスワードと認証設定の管理も口座の数だけ増えます。二段階認証をすべての口座で設定し、認証アプリでまとめて管理しておくと事故が減ります。

使い分けの型

複数口座を続けられている人の使い方は、だいたい次の形に収まります。

型1つ目2つ目向いている人
メインとNISA分離NISA口座と長期の積立個別株など、NISA枠外の売買長期と短期を混ぜたくない人
商品で分ける国内株・投資信託外国株や特定の商品の取扱がある会社買いたい商品が1社でそろわない人
予備として持つ日常の取引すべて障害時の代替、アプリの比較用取引頻度が高い人

どの型でも、口座は2つまでに収めている人が多いようです。3つ以上になると、管理の手間が使い分けのメリットを上回りやすくなります。

2つ目を開く前に確かめること

NISAをどちらに置くか決まっているか。これが決まっていないまま開くと、あとで変更手続きが要ります。

2つ目で何をするかが具体的か。「安いらしいから」だけだと、開いて放置になりがちです。買いたい商品、使いたい機能を1つ言えるかどうかで判断してください。

年に1回、両方の口座にログインする習慣を持てるか。年間取引報告書の確認と、登録情報の見直しがそのタイミングです。

まず1つで慣れて、目的が分かれたら2つ目

はじめて口座を開く人は、1つで十分です。入金、注文、税金の精算までを1社で一通り経験してから、足りないものが見えたときに2つ目を考える。開設は無料でも、管理は無料ではありません。

1つ目をまだ開いていないなら、証券口座の開設手順と必要書類から始めてください。開設後の動き方は開設したあと最初にやることにまとめています。

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投資には元本を毀損する可能性があります。税制は改正されることがあるため、最新の内容は金融庁および国税庁、各社の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断は税理士などの専門家にご相談ください。