「求人10万件」と書かれた総合型に登録して、自分に該当するのは数十件だった。

そういう経験があるなら、特化型を1社入れる価値があります。ただし「専門的だから良い」という話ではありません。違いは別のところにあります。

求人数ではなく、担当者が何を知っているか

総合型の担当者は複数業界を横断します。だから市場全体の相場観に強い。どの業界が採用に積極的か、年収水準がどう動いているか。一方で、特定企業の内部事情までは薄くなりがちです。

特化型の担当者は領域を絞っているぶん、同じ企業に何人も送り込んでいます。すると選考の傾向が溜まる。「この会社のケース面接ではこの型が出る」「この部署は今こういう人を探している」。求人票に書かれない情報です。

総合型は地図を持っていて、特化型はその街の路地を知っている。行き先が決まっていないなら地図が要りますし、決まっているなら路地の情報のほうが役に立ちます。

観点総合型特化型
求人の幅広い狭い
担当者の業界理解広く浅い狭く深い
選考対策汎用的企業別・職種別に具体的
市場全体の相場観強い領域内に限られる
キャリアの方向転換相談しやすい領域外は扱いにくい

特化型が噛み合う人

行き先の業界・職種が決まっている。専門資格や実務経験がある(会計士、税理士、施工管理、特定言語の開発経験など、要件が明確なもの)。選考が特殊な領域を狙う(ケース面接、コーディングテスト、ポートフォリオ審査など)。年収レンジを上げたい。

逆に、業界や職種を変える可能性がある段階や、自分の市場価値がまだ分からない段階では、総合型のほうが向きます。

そして特化型には弱点があります。領域を絞っているということは、その領域に行かないという結論が出しにくいということでもある。コンサル特化のエージェントに「コンサルは向いていないと思います」と言われることは、まず期待できません。方向性そのものを迷っているなら、特化型だけで判断を完結させないでください。

背景は転職エージェントはなぜ無料?収益の仕組みで整理しています。

領域別の主なサービス

各社の公表情報から、運営会社と対応領域を整理します。内容は変更されることがあるので、最新情報は各公式サイトで確認してください。

サービス運営会社主な対応領域
MyVision株式会社MyVisionコンサルティング業界
TechGo株式会社MyVisionITエンジニア・WEBクリエイター
BuildJob(ビルドジョブ)株式会社MyVision建設領域
TwinPro(ツインプロ)株式会社MyVision会計士・税理士
メーカーズジョブ株式会社MyVisionメーカー・製造業
明光キャリアパートナーズ株式会社明光キャリアパートナーズM&A・コンサルティングファーム・ファンド/エンジニア転職

MyVision系

コンサル特化の「MyVision」を主軸に、領域別のブランドを展開しています。公表情報によれば2022年12月創業、従業員100名を超える規模まで拡大。

コンサル業界にはケース面接という独自の選考形式があり、対策の有無が結果を分けやすい。事業会社からコンサルを狙う人、ファーム間の移籍を考えている人には噛み合いやすい構成です。

IT領域のTechGoについては、技術スタックや開発体制といった求人票から読み取れない情報が転職後の満足度を左右します。担当者がコードや開発プロセスの話をどこまで理解できるかが提案精度に直結するので、面談で「この領域は何年担当されていますか」と聞いておくと精度が測れます。

建設のBuildJob、士業のTwinPro、メーカー・製造業のメーカーズジョブは、いずれも資格や職務経験が要件に直結する領域です。1級施工管理技士や建築士、会計士・税理士、あるいは生産技術・品質保証といった職種経験を、取得年や担当範囲まで含めて正確に伝えることが前提になります。製造業で求人票から読み取れないことの確かめ方は製造業・メーカーの転職にまとめました。

明光キャリアパートナーズ

公式サイトによれば、事業はハイキャリア人材紹介(M&A、コンサルティングファーム、ファンド領域が中心)、外国籍人材の紹介・研修、外国人向けオンライン日本語学習サービスの3本柱です。

同社は「ハイキャリア人材紹介の内定率は業界平均の8倍である40%以上」と公表しています。ただしこれは自社公表値で、第三者による検証を当編集部で確認できたものではありません。人材紹介の内定率は分母の取り方(登録者全体か、書類通過者か、面接に進んだ人か)で数値が数倍変わるため、サービス間の比較には使えない数字です。気になるなら面談で「その40%はどこを分母にした数字ですか」と聞いてみてください。答えられるかどうか自体が情報になります。

なお同社はエンジニア転職の支援ラインも展開していますが、公式サイトで前面に出ているのはM&A・コンサル・ファンド領域です。エンジニア転職が目的なら、面談時にその領域の担当歴と求人数を直接確認するのが確実です。

▼同社が運営するエンジニア転職支援。担当歴と求人数は面談で確認を(PR)

自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】

同じ運営会社の複数ブランドは「複数社」ではない

MyVision系の4サービスは、いずれも同じ会社が運営しています。ここに4つ登録しても、独立した2社に登録したのとは意味が違う。扱う求人プールや社としての方針は共通する部分があります。

比較検討のためには、運営会社の異なるエージェントを組み合わせてください。

組み合わせ方

総合型で全体像をつかみ、特化型で本命を詰める。順序に理由があります。

特化型が提示する年収が妥当かどうかは、市場全体を知らないと判断できません。選択肢を狭める判断は、選択肢を見てからでないとできません。そして1社だけだと、その担当者の質が基準になってしまいます。

状況目安内訳の例
方向性が未定2〜3社総合型2社+気になる領域の特化型1社
行き先が決まっている2〜3社特化型2社+総合型1社(相場確認用)
情報収集のみ1〜2社総合型1社で相場を把握

5社以上になると、日程調整と連絡対応だけで消耗します。在職中ならなおさらです。

領域が決まっているなら、面談は1時間で終わる

求人数、年収レンジ、選考傾向。公式サイトを何時間見ても分からないことが、面談では最初の30分で出てきます。

面談前に決めておくのは3つだけ。狙う領域、現年収の内訳、譲れない条件を1〜2個。当日の詳しい準備は初回面談の準備と質問リストにまとめました。

最後にひとつ。特化型は「領域が一致しているかどうか」が第一条件です。領域が違えば、どれほど評判が良いサービスでも役に立ちません。比較すべきはサービス同士ではなく、自分の狙う領域と各サービスの対応領域のほうです。