年が明けてから、取引履歴を見返して初めて考える人が多い項目です。しかも株式と同じつもりでいると、通算のところで計算が合わなくなります。
区分が違う。まずそこからです。
※本記事は制度の一般的な整理です。当サイトは税務の専門家ではありません。個別の税務判断は税理士や所轄の税務署にご相談ください。税制は改正されることがあるため、最新の内容は必ず国税庁の情報でご確認ください。投資には元本を毀損する可能性があり、証拠金取引では預けた証拠金を上回る損失が生じることがあります。
給与とは合算しない
FXやCFDの損益は「先物取引に係る雑所得等」という区分に入り、申告分離課税の対象になります。
分離、という言葉のとおり、給与所得などとは合算しません。この区分の中だけで所得を計算して、そこに税率をかける。だから給与が増えたからといって、FXの利益にかかる税率が上がるわけではありません。
税率は所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた水準で定められています。具体的な率は改正され得るため、国税庁の案内で確認してください。
株式の損失とは相殺できない
ここが実務で一番引っかかるところです。
株式や投資信託の譲渡損益は「上場株式等に係る譲渡所得等」という別の区分です。区分が違うものどうしは通算できません。 株で50万円損して、FXで50万円得たとしても、FXの利益はそのまま課税対象になります。
一方で、同じ区分の中なら通算できます。
- FXの利益と、CFDの損失
- CFDの利益と、先物取引の損失
- 複数のFX会社の損益どうし
同じ区分に属していれば、会社をまたいでも合算して計算します。年間の取引報告書を各社から取り寄せて、合計で判断することになります。
通算できるかどうかは「区分」で決まる
判断に迷ったら、その商品がどの区分に入るかを国税庁の情報で確認してください。名前が似ていても区分が違えば通算できませんし、逆に見た目の違う商品でも同じ区分なら合算できます。
暗号資産の扱いは、FXやCFDとはまた別に整理されています。同じ「証拠金取引」という言葉で括られていても、課税の区分まで同じとは限りません。
いつの損益として数えるか
年をまたいでポジションを持ち越している場合、まだ決済していない含み損益は原則として対象になりません。数えるのは決済して確定したぶんです。
年末近くの取引は、決済日がどちらの年に入るかで申告の年が変わります。会社ごとに締めの扱いが違うことがあるため、報告書の対象期間を確認してください。
損失は3年繰り越せる。ただし申告が要る
損失が出た年は、翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺できます。期間は3年間です。
条件がひとつあって、損失が出た年に確定申告をしていること。そして繰り越しを維持するには、その後の年も取引の有無にかかわらず申告を続ける必要があります。
利益が出ていない年は申告義務がないことも多い。だからといって出さずにいると、繰り越しの権利ごと消えます。損が出た年こそ申告する、と覚えておくのが実務的です。
繰り越した損失はどう使われるか
繰越控除は、翌年以降にこの区分で利益が出たときに、その利益から差し引く形で効きます。利益が出なければ使われないまま、期間の満了で消えます。
複数年ぶんの損失があるときは、古いものから順に使うのが原則です。
会社員が申告する場面
給与を1か所から受けていて、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要になる場合があります。
ただし、いくつか例外があります。
住民税の扱いは所得税と別です。20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあります。
損失を繰り越したいなら、金額に関係なく申告します。
医療費控除やふるさと納税で確定申告をするなら、その中にFXの所得も含めることになります。
株式の口座とは扱いが違う
証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を使っていると、株の売却益は証券会社が計算して納税まで済ませてくれます。確定申告が要らない状態です。
FXやCFDには、この仕組みがありません。年間の損益は各社が報告書として出してくれますが、納税は自分で行います。株の感覚のまま「何もしなくていい」と思っていると、申告漏れになります。
株式側の口座の種類については特定口座と一般口座の違いに整理しました。
手数料やスワップの扱い
取引にかかった手数料は、所得の計算上、経費として差し引ける項目とされています。スワップポイントの受け払いも損益に含めて計算するのが一般的です。
どこまでを必要経費に含められるかは個別事情で変わります。判断に迷う支出があるなら、税理士か所轄の税務署に確認してください。
年内にやっておくと楽なこと
- 使っているFX・CFD会社をすべて把握する
- 各社の年間取引報告書の出し方を確認する
- 同じ区分の損益は合算して計算すると理解した
- 損失が出た年は申告する、と決めておく
- 判断に迷う点を税務署か税理士に確認する
取引を始める前でも、この区分の違いだけ知っておくと、あとで慌てません。