証券口座の申込画面に「CFD」という項目があって、チェックを入れるか迷ったまま飛ばした。そういう人は多いはずです。
名前だけ見ても中身が想像できない。まず仕組みから見ていきます。
※本記事は仕組みの一般的な整理です。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も行っていません。特定の商品や取引をすすめるものではありません。CFDは証拠金を用いた取引で、相場の変動により預けた証拠金を上回る損失が生じることがあります。 手数料や金利調整額などの費用もかかります。制度・規制・各社の条件は変更されるため、最新の情報は金融庁および各社の公式サイトでご確認ください。
現物を持たない取引
CFDは差金決済取引の略です。日本語にすると「差額だけを決済する取引」。
たとえば日経平均株価を対象にした取引をするとき、日経平均に連動する何かを買って保管するわけではありません。エントリーした時点の価格と、決済した時点の価格。その差額だけがやり取りされます。
だから現物の受け渡しがなく、値上がりを見込む方向だけでなく、値下がりを見込む方向からも取引を始められます。この点が現物株との大きな違いです。
何を対象にできるのか
扱える対象は業者によって差がありますが、だいたい次のような区分になっています。
- 株価指数(日経平均、S&P500など)
- 商品(金、原油など)
- 個別株
- ETF
- 債券
株式の口座だけでは触れない対象に、ひとつの口座からアクセスできる。これがCFDが使われる理由のひとつです。
ただし対象ごとに証拠金の率もコストも違います。「CFD口座を開いた=全部同じ条件で取引できる」ではありません。
株式投資と並べるとどこが違うか
| 現物株式 | CFD | |
|---|---|---|
| 対象の保有 | 保有する | 保有しない |
| 取引の方向 | 買いから | 買いからも売りからも |
| 必要な資金 | 約定代金の全額 | 証拠金(代金の一部) |
| 保有中の費用 | 基本的になし | 金利調整額などが発生し得る |
| 配当の扱い | 配当を受け取る | 価格調整額として調整される |
注目してほしいのは最後の2行です。現物株は買って持っているだけなら費用はかかりませんが、CFDはポジションを翌日に持ち越すと金利相当の調整額が発生するのが一般的です。方向によっては受け取りになることもありますが、対象と業者によって扱いが変わります。
長く持つほど有利、という性質の商品ではないわけです。
株式とFXそれぞれとの違いを軸ごとに並べたものはCFDと株式・FXの違いにあります。
FXとの関係
仕組みはCFDと同じ差金決済です。違いは対象で、FXは通貨の交換レートに限られます。
コストの呼び方も似ています。FXのスプレッドと同じように、CFDでも売値と買値の差が実質的な取引コストになります。FXのスワップポイントに当たるものが、CFDの金利調整額です。
つまりFXを触ったことがあれば、CFDの構造は理解しやすい。逆にどちらも未経験なら、レバレッジとロスカットの仕組みを先に押さえたほうが安全です。
コストはどこで発生するか
3か所あります。
スプレッド
売値と買値の差。取引した瞬間に、この差の分だけ不利な状態から始まります。狭いほど有利ですが、相場が荒れると広がることがあります。
取引手数料
銘柄によって、スプレッドとは別に手数料がかかる場合があります。株式CFDで設定されていることが多い。
金利調整額・価格調整額
ポジションを持ち越すことで発生します。保有期間が長いほど積み上がります。
比較表に出てくるのはたいていスプレッドだけです。実際の負担を見るなら、自分が持つつもりの期間で3つ全部を足してください。
証拠金を超える損失について
ここが最も重要です。
CFDは証拠金を預けて、その何倍かの金額の取引をします。倍率の上限は対象ごとに法令で定められていて、株価指数、商品、株式で異なります。数値は改正されることがあるため、金融庁と各社の案内で現在の値を確認してください。
損失が膨らむと、多くの業者ではロスカットが自動で行われます。ただしこれは損失を一定額に抑える保証ではありません。相場が急に飛んだ場合、ロスカットが間に合わず、証拠金を超えた損失が残ることがあります。不足分は追加で入金を求められます。
生活に必要な資金や、近く使う予定のある資金を証拠金にしないでください。失っても計画が崩れない範囲に収める。これが最初に決めるべきことです。
税金の扱いも株式とは別
CFDやFXの損益は、株式の売却益とは別の区分で課税されます。株式の損失と通算できません。
その代わり、CFD・FX・先物取引の損益は同じ区分の中で通算できます。詳しくはFX・CFDの税金にまとめました。
触る前に確認すること
- 何を対象に取引したいか決めたか(株価指数/商品/個別株)
- その対象のスプレッドと手数料を確認したか
- 持ち越したときの調整額を確認したか
- 証拠金を超える損失が出る仕組みを理解したか
- 失っても生活に影響しない金額に収めたか
口座開設そのものは無料の業者が多く、開くだけならコストはかかりません。ただ、仕組みを理解しないまま証拠金を入れると、値動きより先に費用と倍率で判断を誤ります。
証券口座の基本から確認したい場合は証券口座の選び方へ。