「毎月同じ額を買えば、高値づかみを避けられる」。積立の説明でよく見る一文です。

間違いではありませんが、これだけを読むと、積立が下落から守ってくれる仕組みだと受け取ってしまいます。実際には守りません。ここでは計算の中身と、不利になる場面を並べます。

※本記事は仕組みの一般的な整理です。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も行っていません。特定の商品や購入方法をすすめるものではありません。投資には元本を毀損する可能性があり、取引には手数料がかかります。制度や税制は改正されることがあるため、最新の内容は金融庁および各金融機関の公式情報でご確認ください。

定額で買うと、何が起きるか

毎回1万円ずつ買うと決めます。価格が1万円のときは1口、5千円のときは2口買えます。価格が高い時期には少なく、安い時期には多く買う形になる。

結果として、購入した口数全体の平均取得価格は、期間中の価格の単純な平均より低くなります。これがドルコスト平均法と呼ばれる効果です。

対して、毎回同じ口数を買う方法(定量購入)だと、高い時期にも同じ口数を買うため、平均取得価格は単純平均に近づきます。定額と定量で結果が変わる、というのがこの話の骨格です。

平均化されるのは「買った価格」だけ

ここが誤解の生まれるところです。

平均取得価格が下がることと、資産の評価額が下がらないことは別の話です。買い続けた期間の終わりに、価格が自分の平均取得価格を下回っていれば、損失が出ます。

積立をしている間に相場が下がれば、評価額はしっかり下がります。安く買える時期が来たという意味にはなりますが、それは持ち続けて、その後に価格が戻った場合の話です。

上がり続ける相場では不利になる

価格が一貫して上がっていく局面を考えます。

最初にまとめて買っていれば、すべての口数を一番安い価格で持てました。分けて買うと、後になるほど高い価格で買うことになり、平均取得価格は上がります。

つまり、上昇が続く相場では一括購入のほうが結果的に有利でした。逆に下落してから回復する相場では、分けて買ったほうが有利になります。どちらの相場になるかは事前には分かりません。

「積立のほうが安全」ではなく、「どちらが有利かは後から決まる」というのが正確なところです。

弱点は3つある

弱点中身
上昇局面で劣る価格が上がり続けるなら一括のほうが多く増えていた
下落を止めない平均化されるのは購入価格で、評価額は下がる
回数分の費用購入ごとに手数料がかかる商品では回数分の費用が積み上がる

3つ目は商品によって差が大きい部分です。購入時の手数料がかからない商品もあれば、毎回かかるものもあります。長期で回数を重ねるほど、この差は開きます。手数料の見方は証券口座の選び方に書きました。

それでも積立が使われる理由

弱点を並べましたが、実際に多く使われているのには理由があります。

買う時期を判断しなくてよくなる。相場を見て「今買うべきか」を毎回考えるのは負担が大きく、判断を続けられる人ばかりではありません。自動で買い付ける設定にすれば、その判断から離れられます。

まとまった資金がなくても始められる。一括で買うには元手が要りますが、毎月の収入から一定額を回す形なら、今ある資金の大きさに縛られません。

値動きを見続けなくて済む。頻繁に価格を見ると、下落時に売りたくなる場面が増えます。自分がどこまで耐えられるかはリスク許容度とはにまとめました。

金融庁の資料でも、積立は「あらかじめ決まった金額を続けて投資」してタイミングを避ける方法として説明されています。収益を保証するものとしてではありません。

判断材料は相場ではなく自分の状況

一括にするか積立にするかは、相場の予想では決められません。予想が当たるかどうかは事前に分からないためです。

決められるのは自分の側の条件です。まとまった資金が今あるのか。値動きを見て判断し続けられるのか。毎月の収入から回す形のほうが続けやすいのか。

長期・分散との組み合わせ方は投資戦略の基本に、NISAのつみたて投資枠という制度の話はNISAの基本にあります。

積立を選ぶなら、下がった時期にも買い続けてはじめて仕組みが働きます。その時期に止めてしまうと、高い時期だけ買った形で終わる。そこだけは、始める前に知っておく価値があります。

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投資には元本を毀損する可能性があります。手数料や税制は変更されることがあるため、最新の内容は金融庁および各社の公式サイトでご確認ください。個別の税務判断は税理士などの専門家にご相談ください。