真夏の帰り道。玄関を開けた瞬間の、あのむわっとした空気。
これを解決したくてスマートホームを調べ始めた人は多いはずです。ところが「スマートプラグが安いから」とそれを買って、エアコンが動かずに終わる。よくある失敗です。
数千円で買えて効果もはっきりしている入門機ですが、選び方を外すと何も解決しません。
プラグとリモコン、できることが違う
名前が似ているので混同されがちですが、役割は別物です。
スマートプラグは、コンセントとの間に挟む中継器。できるのは電源のオン・オフだけ。スマートリモコンは、赤外線リモコンの信号を覚えて飛ばす装置で、リモコンでできる操作をひととおり遠隔化できます。
この違いが効いてきます。プラグが役に立つのは「電源が入れば動き出す家電」だけ。エアコンやテレビのように、コンセントを挿しても本体のリモコン操作が必要な機器には手が届きません。
| スマートプラグ | スマートリモコン | |
|---|---|---|
| できること | 電源のオン・オフ | 温度変更、チャンネルなどリモコン操作全般 |
| 向く家電 | 照明、扇風機、電気毛布、加湿器、コーヒーメーカー | エアコン、テレビ、シーリングライト |
| 設置 | コンセントに挿すだけ | 赤外線が届く位置に置く必要あり |
| カバー範囲 | 1家電につき1個 | 同じ部屋の複数家電をまとめて |
冒頭の「帰宅前に部屋を冷やしておきたい」なら、答えはスマートリモコンです。プラグでエアコンに通電しても、多くの機種は待機状態になるだけで運転を始めません。
逆に「寝室の間接照明を声で消したい」「電気毛布をタイマーで切りたい」といった単機能なら、プラグのほうが安くて確実です。
プラグを買うなら、定格容量だけは見る
多くのスマートプラグは1,500W前後が上限です。これを超える家電には使えません。
| 家電 | おおよその消費電力 | 使えるか |
|---|---|---|
| LED照明・扇風機 | 数十W | 問題なし |
| 電気毛布 | 50〜100W | 問題なし |
| コーヒーメーカー | 500〜900W | おおむね可 |
| 電気ケトル | 1,000〜1,300W | 製品の上限を要確認 |
| ドライヤー・電子レンジ | 1,000〜1,500W超 | 非推奨・不可のことが多い |
発熱をともなう高出力家電は、メーカーが利用を禁止していることもあります。取扱説明書を見てください。
あと2つ、地味に効く確認点があります。ひとつは停電から復帰したときの挙動。オンで戻るかオフで戻るかは製品次第なので、冷蔵庫のように常時オンでいてほしい機器には使わないほうが安全です。
もうひとつはサイズ。本体が厚いと隣の差込口が塞がります。電源タップで使うつもりなら、口の間隔と本体の大きさを見比べておきましょう。
リモコンを買うなら、置き場所を先に決める
赤外線は壁も家具も回り込みません。今リモコンを向けて操作している位置関係を、そのまま再現できる場所が必要です。部屋の隅の低い位置に置くと、エアコンまで届かないことがあります。
購入前に確認したいのが、手持ちの家電がプリセットに入っているか。主要メーカーの信号があらかじめ登録されていれば、設定は数分で終わります。なければリモコンのボタンを1つずつ覚えさせることになり、手間がまったく違います。メーカーの対応機器リストで型番を確認しておくと確実です。
温度・湿度センサーを内蔵したモデルなら、「室温が28度を超えたらエアコンをつける」といった自動化まで踏み込めます。単なる遠隔操作で足りるのか、そこまでやりたいのか。ここで選ぶモデルが変わります。
つながらない原因は、たいてい2.4GHz
これは知らないとほぼ確実につまずきます。
多くのスマートホーム機器は、Wi-Fiの2.4GHz帯にしか対応していません。ところが最近のルーターは、2.4GHzと5GHzを同じSSIDでまとめて扱うことが多い。この状態だとセットアップに失敗します。
対処は3つ。ルーターで2.4GHz専用のSSIDを分ける、セットアップ中だけスマホを2.4GHzにつなぐ、バンドステアリングを一時的に切る。どれかで解決します。
「初期不良かも」と返品しかける人がいますが、原因はだいたいこれです。
メーカーを揃えると、あとが楽になる
スマートホームが本領を発揮するのは、機器どうしが連携したときです。「カーテンが開いたら照明もオン」のような動きは、同じメーカーのアプリ内なら数タップで組めます。
メーカーをまたぐと、スマートスピーカーや対応規格を挟むことになり、できることが減ったり反応が遅くなったり。最初の1台を選ぶ時点で、そのメーカーにカーテン・センサー・カメラ・ロックが揃っているかを見ておくと、半年後に困りません。
迷っているなら、不便な場面から選ぶ
数千円で試せて、効果はその日のうちにわかります。調べ続けるより、いちばん不便を感じている場面に合わせて1台入れてみるほうが早いはずです。
夏の帰宅時に部屋が暑いならリモコン。寝てから照明を消しに起きるのが面倒ならプラグ。目的が具体的なほど、買ったあとの満足度は高くなります。
買う前チェックリスト
- 動かしたい家電は「電源だけ」で動くか、リモコン操作が要るか
- (プラグ)その家電の消費電力は上限内か
- (プラグ)隣の差込口を塞がないサイズか
- (リモコン)手持ちの家電がプリセット対応リストにあるか
- (リモコン)赤外線が届く場所に、電源付きで置けるか
- ルーターの2.4GHz帯につなげる状態か
- 将来足したいデバイスが同じメーカーに揃っているか
導入したあと電気代がどう変わるかはスマートホームで電気代は下がる?に、玄関の鍵まで含めて考えるならスマートロックの選び方にまとめています。